よみがえる金融―――協同組織金融機関の未来

第一勧業信用組合の会長である新田信行さんのご著書、新田会長が理事長として着任されてから行われた改革と、有名な「舞妓さんローン」などの誕生秘話も載っており、非常に興味深く読ませていただきました。

 

誇りある金融 ~バリュー・ベース・バンキングの核心

上の「よみがえる金融―――協同組織金融機関の未来」の続編であり、現在の第一勧業信用組合の地域金融への取り組み内容が記載されています。バリュー・ベース・バンキングについて知らない方に是非読んでほしいです。

 

リレーションシップ・バンキングの未来―ポストコロナ時代の地域金融

第一勧業信用組合の会長である新田信行さんと地域金融業界で知らぬ人はいない多胡秀人さんの共著、お二人の考える地域金融についてのエッセンスが満載の本で、信用組合などの地域金融に携わる人に是非読んでほしいです。特に新田会長の「コロナなかりせば倒れないであろう先は、一社たりとも倒させない」というお言葉に感動しました。その為の具体的な方策や、その為に一番大切な「人材」つまり職員の教育、待遇改善まで具体的に記されており、言葉だけでない行動の重みを感じました。また、顧客の事業性評価もせず、ただただ「ゼロゼロ融資」を出して、顧客を借金漬けにして、その利子補填で潤う旧来型の金融機関に対するお二人のお怒りも伝わってきました。また、国がオーバーバンクだとしきりに言って地銀再編などが話題に出ている現在でも、安易に金融機関の経営統合をするのではなく、むしろ信用組合・信用金庫などの協同組織金融機関が無い土地にあらたに金融機関を設立すべきだという意見とその理由は、非常に説得力のあるものでした。

 

捨てられる銀行

2015年から森信親長官の元で開始された日本の金融改革についての入門本。バブル崩壊後の不良債権危機により、金融検査マニュアルに固執し、取引先の事業性評価をせず、ただただ担保をとってその対価として資金を貸していた日本の金融機関に対して、森長官が行った改革が書かれています。起業する人を応援し、地域やコミュニティを発展維持させていくという信用組合、信用金庫、地方銀行などの地域金融機関がバブル前までは当たり前に行っていたことが、なぜ出来なくなり、そして、これからどうすればいいのかという指針を示してくれる本だと思いました。

 

捨てられる銀行2-非産運用-

ベストセラーとなった前作「捨てられた銀行」の続編です。今回は投資信託に的を絞った作品となっており、バブル後の金融機関が貸出金で儲からなくなった分を投資信託でいかに補おうとしたか、そしてその結果の「非産運用」で一般の人々がどれだけ損を被ったかがわかります。

 

捨てられる銀行3-未来の金融-「計測できない世界」を読む

「捨てられる銀行」が過去を、「捨てられる銀行2」が現在を描いた作品であるとするならば、こちらの「捨てられる銀行3」は金融の未来を描いた作品になっています。検査マニュアルが大きく変わり、事業性評価をして担保だけに頼らない貸し出しや、顧客に寄り添う金融(伴走支援)のあり方などが示され、これからの信用組合、信用金庫、地方銀行などの地域金融機関がどのように行動していけば良いのかを指し示す良書でした。「行動だけが未来を変える」という著者の言葉がとても心に残っています。

 

捨てられる銀行4-消えた銀行員-地域金融変革運動体-

「捨てられる銀行」が過去、「捨てられる銀行2」が現在、「捨てられる銀行3」未来を描いた作品であるならば、この「捨てられる銀行4」は新しい金融の具体的な取り組みや成功例について書かれた本となっています。確かに過去作に比べると価格は少し高めですが、その値段に恥じない内容となっています。北海、山形、長野、沖縄などの事例が取り上げられており、特に沖縄の事例は他の都道府県でも活用しやすいのではないかと思いました。